女性の作曲家ガイド第4回のレポートが諸事情により遅れてしまいました。前回も多数の方にご参加いただき、ここに概略だけ記します。テーマは「舞台姿とジェンダー」=女性演奏者の衣装のフシギです。クラシック音楽では、女性は華やかなドレスだったり、露出のあるデザインだったりすることが一般的です。が、男性は真っ黒なスーツと対照的。それは何故か?という問題です。
少し時間を遡ると、バロックオペラ・バロックダンスの時代に、男女の衣装はほぼ変わらなかったと言います。それが近代バレエ以降、ご存知のように男女の衣装が極端に差別化されていったそうなのです。この時代から現代に至るまで、男性は男性らしく、女性は女性らしく、というような性の規範化が当然のように受け入れられきたわけです。
ポーランド出身のアメリカ人である作曲家・ピアニストのエセル・レギンスカ(1886〜1970)は20世紀初頭から、このような状況を批判していました。少々引用します。
「…婦人の生涯は極めて些細な事に煩を受ける者で、何より衣装に気を取られるなどはその不利益なる点の重なる者である。男は一定の服装をして居れば良いから何等外貌に心奪われる必要はない。しかるに婦人として聴衆の前に立つ時に何故男子同様この特権を得られないのであろうか。私は公衆に私の體を見てもらうのではない。私の人格そのものを認めてもらいたいのだ。…」(雑誌『月刊楽譜』大正6年(1916)5月号)
先駆的な発言であると同時に、この時代に日本語に翻訳されていたことも見逃せない史実です。この日は他、参考文献としてS.マクレアリの『フェミニン・エンディング』、佐伯順子『「女装と男装」の文化史』、小林緑『女性作曲家列伝』などが取り上げられました。次回は5/10(木)19時〜となります。女性作曲家ガイドのご参加は予約制となっておりますので、こちらからお申込みください。
さて、4月14日は、学園坂出版局&スタジオで行われている講座にご参加の方・ご関心をお持ちの方に向けて、東村山市の国立ハンセン病資料館ツアーを開催します。この資料館は多磨全生園の中に併設されている日本でたった一つの資料館です。多磨全生園には元患者さんも住まわれており、中には語り部として活動されている方もいらっしゃいます。
通常より入館無料の場所ですが、団体申し込みをしておりますので、ガイダンス映像・語り部佐川修さん(1/24ご逝去とのこと)の講演DVDを計95分ほど視聴できます。日本の近代史のみならず、差別の問題、監視や処罰といった制度の問題など、また隔離され続けてきた方々の表現活動〜詩や音楽、美術など〜に触れることで、深く深くいろいろなことを考えさせられる時間となります。ご参加希望の方はこちらからご一報ください。 4/14(土)の集合時間は原則12時50分(現地集合ですのでアクセスをこちらからご確認ください)、13時に映像視聴が始まり、14時40分ごろからは自由行動になります。無料イベントですので、お気軽にご連絡ください。
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