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女性の作曲家ガイド第6回終了しました

7/5は女性の作曲家ガイド。17年9月より隔月でスタートしたこの講座も、そろそろ1年を迎えようとしています。この日のテーマは、19世紀〜20世紀に活躍したセシル・シャミナードでした。フルーティストなら皆知っているシャミナード。けれど、シャミナードがどんな人物だったかは、ほとんど知られていないと言ってもいいでしょう。

1857年にパリに生まれ1944年に亡くなるまでに数多くの作品を書き、楽譜が飛ぶように売れたと言います。ウィキペディアには「経済的に自立できた最初の女性作曲家」とあるくらいなので、その売れ行きは相当だったはずです。ちなみに当時はレコードやCDなどのメディアがほぼ存在しなかった時代なので、楽譜とは作曲家が食っていくための最も重要な手段でもあったのですね。

講義では、小林先生の秘蔵のDVDや音源がいくつか紹介されました。もっとも印象的なのはアンヌ・ソフィー・フォン・オッター(スウェーデンの歌手)のリサイタル。インタビューもまじえながらシャミナードの歌曲の魅力を存分に伝えてくれます。「シャンソンともポップスとも違う何か」と語るオッターの演奏は、ジャズのような自由ささえ感じられます。ピアノを弾くフォシュベリの伴奏は、もはや伴奏を超え、作曲家本人が弾いていると錯覚するような見事な解釈です。

作曲家本人の演奏活動も旺盛で、ヨーロッパだけでなくアメリカでも人気を博したそうです。1908年に初めて訪れたアメリカには「シャミナードクラブ」と称した団体が200以上もあったとか。イギリスもたびたびツアーがあったそうで、英語圏に人気があったことも興味深い史実です。とはいえ同時代のドビュッシーやワーグナーなどとは犬猿の仲だったらしく、それが男性/女性の問題であったかどうかは今は措くとしても、知名度という意味では現在でもドビュッシーに軍配が上がることは紛れもない事実でしょう。こうした歴史記述の不均衡を調整していくことが、この講座の使命なのかもしれません。

女性の作曲家ガイドは隔月で開講しています。各回1回で完結していますので、中途からのご参加も全く問題ありません。毎回8〜10人程度の少人数制なので、質疑応答も気軽にしていただけます。次回は9/6(木)19時〜。初めてご参加される方はこちらからお申し込みください

20180705小林緑

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