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ブラックカルチャー入門が始まります

この秋、学園坂スタジオでは「ブラックカルチャー入門」が新規開講します。いまブラックという形容詞は、ブラック企業などのようにネガティブな意味合いをもつことが多いのですが、いわゆるブラックカルチャーという言い方は、広く黒人文化を意味します。かつてブラック・イズ・ビューティフル(=黒人こそ美しい、のような意)などというスローガンが言われたことがありましたが、いま現在のアメリカの状況からしても、その意味するところを改めて考えてみる必要がある、そのような思いからこの講座は企画されました。

学園坂出版局講座チラシ2017

周知のように、黒人の歴史は人種差別の歴史でした。つい最近まで公の制度でもあった奴隷制ですが、いまこの制度が果たして本当に消滅したのかどうか。見た目には消滅したかのようにみえても、内実は変わらないのでは?あるいは復活することの可能性はないのか?そのような疑念を抱かずにはいられない雰囲気が世界中に漂っているようです。

一方で、言われなき差別を跳ね返すかのような表現が音楽や文学などのジャンルに花開いたこともよく知られています。とりわけアメリカ音楽の分野では、世界的に知られるようなミュージシャンが20世紀に数多く生まれ、日本においても一定の支持層が誕生しました。他国のミュージシャンたちに対する影響も大きく、ブルースやジャズなどのクラシックからソウルやファンク、ヒップホップやラップまで、もはや何がブラックで何がブラックでないか必ずしも明確ではなくなるくらい、世界中に影響を与え続けてもいます。

そのようなムーブメントに対して文学はどうでしょうか。やはり書物というメディアの性格上、音楽ほど派手ではないにせよ、多くの重要な作家や詩人が誕生しました。枚挙に暇がありませんが、米国に限って言えば、ゾラ・ニール・ハーストン(1891〜1960)やラングストン・ヒューズ(1902~1967)などやトニ・モリスン(1930〜)、アリス・ウォーカー(1944〜)などの存命の作家たちが圧倒的な作品を多く書き残していますし、より若い世代の作家たちも活躍しています。

この講座では、そのような作家たちの作品を取り上げながら、ブラックカルチャーについてのより深い知識を参加者の皆さんと共有していくことを目指しています。講師には気鋭の研究者、新田啓子さんをお迎えします。新田さんの近著は『アメリカ文学のカルトグラフィ』。大胆な発想と複眼的な視点に貫かれた、まばゆいばかりの論考です。

nittasanbook

以下は学園坂出版局のHPに寄せられた新田さんの一文です。

本講では、アメリカ黒人の自己表現法の生成と構築を検証することにより、「人種」を根拠にふるわれてきた暴力と、それに抵抗するサヴァイヴァーの創造的知性を理解することを目指します。黒人音楽に特徴的なパフォーマンスの構成“Call and Response”(呼びかけと応答)に倣いつつ、「音楽」と「文学」がちょうど「呼びかけ」と「応答」のかたちで示すようなテーマを年代順に探究します。それを通し、エスニック・マイノリティが育んだ芸術表現の豊穣を学ぶのが、この講座の究極のねらいです。(学園坂出版局HPより)

ただいま受講のお申し込み、受付中です。初日は9/29(金)19:30〜。詳細は上記HPでご確認ください。

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